日本最西端に位置する与那国島は、どのような島づくりを目指すのか。国境の島への陸上自衛隊の監視部隊配備の賛否を問う注目の住民投票が22日に実施される▼揺れる島は今、「自衛隊と共に築く島の発展」「島を守り過疎化を止め、発展する島へ」「平和な島こそ、島民の誇り」「島の活性化はみんなの知恵で」というのぼりなどが乱立。配備をめぐり島が二分され賛成、反対両派の運動が日に日に過熱している▼住民投票は、対象者の一人一人の判断によって行われるのが本来の姿。島では地縁、血縁のしがらみが強く、不正行為が心配されている。今回は島の将来を担う中学生も対象。大人たちには、お手本を示す上でも自らの意思で投票するという規範意識も問われよう▼自衛隊配備の賛否は、家族や親族間でも意見が対立し、人々の心を暗くしている。それでも決めなければならない。しかし今を良くするあまり、その後が悪くなっては取り返しがつかない▼国防を担う自衛隊を配備し、島の発展を目指すのか。それとも住民の知恵で自立ビジョンを策定して、未来に託すのか。その選択は後世にも重い意味を持っている▼与那国島の将来のあるべき姿とは。先見の明での判断が必要な時ではないだろうか。対象者には国境の島百年の計で悔いのない選択をしてほしい。(鬚川修)
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