西表島内に100〜109頭生息していると推定されている国の特別天然記念物イリオモテヤマネコが推計値より多く生息している可能性のあることが分かった。標高200㍍以上の山地部に生息するヤマネコは、これまで低地平野部の5分の1の密度と考えられていたが、琉球大学と林野庁がヤマネコの自動撮影調査を行ったところ、山地部でも平野部とほぼ同等の頻度でヤマネコが撮影された。琉球大学研究員の中西希氏が15日の公開シンポジウムで発表した。
ヤマネコの生息頭数は環境省が1974年以降、10年おきに生息状況等総合調査で推計してきた。直近の調査(第4次)は2005〜07年に実施され、生息数は100〜109頭とされている。
同調査では西表島内を山地部と低地部、不適地(住宅地・農地)に区分。1㌔平方㍍当たり低地部では0.30〜0.56個体、山地部では0.12個体が生息しているとの計算で生息数を推計している。
琉球大学と林野庁の自動撮影調査は03〜11年にかけ、これまでヤマネコの生息情報が得られていない場所を中心に19地域、190カ所で実施。全体の75.3%に当たる143カ所でヤマネコが確認された。
確認頻度を内陸山地部と沿岸低地部で比較したところ、山地部は月に0.31〜0.33回、沿岸低地部は0.24〜0.30回の頻度で確認された。
中西氏は「内陸山地部でも親子のヤマネコを確認しており、山の中でも出産・育児しているようだ」と述べ、同大理学部教授の伊澤雅子氏も「山の中は生息密度の濃淡があると予想されるが、個体数はいままでの推計値より多くなると思う。山の中の調査密度をもう少し増やしていかないといけない」と話した。