■知事のひょう変に失望
あれほど「県外が早い」と訴え続けていた仲井真弘多知事が今年の仕事納めの27日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古の移設に向けた埋め立て申請の承認を表明。国の圧力の前に県選出自民党国会議員が次々公約をひるがえす中で「知事よ、お前もか」と県民の間に言い知れぬ失望と落胆、怒りと反発が広がった。
しかし25日の安倍首相と会談した際の知事の突然ともいえる人ひょう変ぶりは何としたことか。首相から基地負担軽減の確かな担保は何ら示されなかったのに「驚くべき立派な提示をいただいた」「いい正月になる」と嬉々としたらしからぬ知事に逆に県民が一体何があったのかと驚いたことだろう。
県庁を包囲して不承認を訴えてきた人々は「知事は多額の予算と引き換えに沖縄の魂を売った」と批判したが、「政治家はうそつき」ここに極まれりで、これまで思わせぶりにしてきて土壇場で多くの県民を裏切った知事に退陣要求が出ても不思議はない。
しかし、これで沖縄はアメ・ムチで何とでもなるとますます国の圧力・差別が強まるのが怖い。来年1月の名護市長選で改めて県民の意地を見たい。
■過去最高の90万人突破
ところで八重山の2013年は、30年余の曲折をたどって実現した悲願の新石垣空港開港効果に沸いた1年だったといえるだろう。
滑走路が従来の1500㍍から2000㍍に伸びたことで中型機が就航して大幅に輸送力がアップ。加えて格安航空や台湾からの定期便が相次いで参入したことで観光客が3月の開港以降毎月前年同月を更新。業界はじめ八重山経済はかつてない活況を呈した。
11年に66万人にまで減っていた八重山観光。それが今年は10月で81万人とこれまで最高の07年の78万人を突破して過去最高を記録。最終的に90万人台も確実となった。消費額も10月で昨年の443億円を上回ったが、消費単価の回復が八重山経済飛躍のカギだ。
それにしても新空港開港でこれほどの活況を予想した人はそうはいないだろう。来年は魅力的な観光地づくりとセールスをさらに強化して一気に“観光客100万人時代”を迎えたい。
■来年は消費増税の年
観光産業と並ぶ八重山経済の柱である肉用牛も今年はかつてなく好調だった。午(うま)年の来年はどうなるか。ぜひ好調持続を願いたい。
来年の懸念材料は4月からの消費税アップだ。現在の5%が8%になり、私たちの暮らしを直撃する。さらに医療・介護保険料も引き上げられるが、年金は逆に1%下げとなり、低所得者や高齢者には、さらに生活費の切り詰めを迫られる厳しい時代に入る。
3月に市長選、9月に3市町議会議員選、11月に知事選があるが、八重山はどういう政治構図になるか。与那国では自衛隊配備が着工に向けて加速する。島の人々は「自衛隊の島」になることに抵抗はないだろうか。
対中、対韓関係を悪化させ、国連への弾薬供与や秘密保護法など戦争する国に突き進む安倍政権の暴走ぶりが怖い。世論の揺り戻しがあるべきだ。