【西表】県道白浜南風見線の一部区間で、竹富町が今年8月にイリオモテヤマネコの侵入防止フェンスを設置して以降、ヤマネコの道路への侵入が少なくなっていることが分かった。環境省西表野生生物保護センターの福田真(まこと)自然保護官は「ヤマネコは縄張りを強調するために路上にフンを残すことが多いが、フェンスを設置してから路上でヤマネコの痕跡は見られなくなっている」と話している。
フェンスは、沖縄本島北部地区でヤンバルクイナのロードキル防止に向けて整備されている高密度ポリエチレン製のネット。高さは1㍍。町自然環境課が今年8月に交通事故や子ネコの目撃例が多発している高那地区の県道の両側延長600㍍に設置した。
設置箇所は、アンダーパスやネコボックスと呼ばれるヤマネコの輪禍防止目的のトンネルが6基整備されている区間で、県八重山土木事務所もフェンス設置後にモニタリング調査を実施し、フェンスの設置効果を検証している。
福田自然保護官は「アンダーパスがなければ、ヤマネコの行動圏を分断するためフェンスは設置できなかった。県道白浜南風見線では県が長年にわたって130基以上のアンダーパスを設置しているからこそ実現できたことだ」と県の取り組みを評価する。
ヤマネコの交通事故は昨年、過去最多となる6件が発生し5匹が死んだ。今年は30日までに3件の事故があり、2匹が即死、1匹が保護後に衰弱で死亡。1匹は保護された後に野生復帰している。