師走に入り、金銭の動きが活発化する時期を迎えたことから、真喜良郵便局(黒島聡局長)と八重山署は3日夕、同局で強盗対策模擬訓練を行い、万一への備えを確認した。
訓練は、貯金客を装った犯人が窓口の職員に拳銃を突きつけ「金を出せ」と迫り、現金を奪って逃走するという想定で実施。
同日午後5時15分、来局した犯人役が「貯金したい」と男性職員に告げると、突然かばんから拳銃を取り出し、カウンターに飛び乗り現金を要求。局長から1000万円を奪うと、止めてあった軽トラックで逃走した。
その後、駆け付けた警察官に、職員が犯人の特徴や車両ナンバーを的確に伝え、犯人逮捕につなげた。
同署生活安全課の金城保志課長は「事前の想定とは違う面もあり、戸惑ったと思うが、いい訓練だった。今度は客がいる際も想定して実施してほしい」と述べ、▽来局時の声掛け▽非常通報装置を押すタイミング▽犯人との距離▽犯人と逃走車両の把握|も適切だったと講評した。
黒島局長は「人はとっさの場面では気が動転するもの。冷静な状況分析、判断力を養う意味でも訓練の意義は大きかった」と述べた。
犯人の特徴を帽子のワンポイントまで細かく覚えていた小嶺さわ子さん(24)は「平常心を心掛けた。お金を盗られるわけにはいかない。実際はパニックになるはずだが、それでも手がかりを探すと思う」と語った。
犯人に拳銃を突きつけられながら、車両ナンバーを完全に覚え、カラーボールも命中させた美崎伊紀さん(39)は「訓練だったが、威圧感があった。もしもの際の経験になった。実際には覚えられるのも末尾の4桁だけだったりするかもしれない。複数犯だとさらに難しかったはず」と話した。