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長期渇水、地域経済に打撃

■9日間で一時解除へ

 8月から続く渇水で20日から、北西部などの簡易水道地区を除く上水地区で午後11時から翌朝午前6時までの夜間断水を実施していた石垣市は、27日から28日にかけ降った約2カ月ぶりのまとまった雨を受け、夜間断水は一時解除される。

 降雨で真栄里ダムの貯水率が45%に回復したほか、河川水も上昇。「通常の配水で2カ月は大丈夫」と判断した。だが、この先の雨量により夜間断水を再開する可能性もあり、石垣市水道部は引き続き市民に節水への協力を呼びかけている。

 石垣市の断水は、2011年8月以来、3年ぶり。断水期間は前回より1日長い9日間。時間帯が夜間だけに一般家庭への影響は少なかったようだが、夜間営業する飲食店などは、営業時間を短縮するなど、対応に苦慮したようだ。今回の断水の一時解除は、これから年末にかけ忘年会シーズンなどで活発化する経済活動への配慮がある。

■農畜産へも影響

 干ばつ傾向は、地域の農畜産物の生産にも大きな影響を与えている。

 基幹作物のサトウキビは生育旺盛期の夏場に雨が少なかったことで茎長が短く、10㌃当たりの単位収量の低下を招きそうだ。その結果、郡内の生産量は9万7260㌧と4期連続で10万㌧を割り込む見込み。今期は収穫面積が前期を上回り、台風被害もほとんどない好条件だっただけに、糖業界への打撃は大きい。

 一方、畜産は、粗飼料(牧草)生産に影響。かん水施設のない地域では特に被害が深刻で、「牛の島」として知られる黒島では、冬場に向け粗飼料不足が懸念され、JAが外国からの輸入粗飼料価格を引き下げ、農家支援を打ち出している。

 肉用牛は子牛のセリ価格が過去最高で推移しているだけに、干ばつによる粗飼料不足が子牛の飼養管理、肉用牛経営に悪影響をおよぼすことがないよう、JAや行政の引き続きの支援が必要だ。

■普段からの節水を

 前日からの降雨で、ダムの水位は28日午後4時時点で真栄里ダムが45%、底原ダムが39・9%、名蔵ダムが71%などに回復した。だが、名蔵ダム以外は必要十分な量にはほど遠く、まだまだ予断は許せそうにない。

 今回の断水にあたり石垣市水道部では市民に防災無線などを使い節水を呼びかけた。トイレの洗浄水量の調整やシャワーから湯船を使った入浴方法に変更、水道水以外の水を使った庭木への散水などだ。屋外にためた雨水や公共下水道の処理水を活用するのも節水手段の一つだ。洗車の期間を普段より長くすることも必要だろう。

 市水道部によると、20日からの夜間断水で、27日までの7日間で8594㌧、1日平均約1228㌧が節水されたという。

 今回の夜間断水で市民も水が無限大にあるわけではないことを認識し、普段からの節水の必要性を自覚したことだろう。水事情が完全に好転するまで市民には、もうしばらく節水への協力が求められる。


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