【与那国】与那国町議会(糸数健一議長)は17日午後、臨時議会を開き、同町への陸上自衛隊基地建設の民意を問う住民投票条例を賛成多数で可決した。住民投票は外間守吉町長が20日以内に告示し、60日以内に実施されるが、法的拘束力はない。条例可決を受け、外間町長は「真摯(しんし)に受け止めたい」と述べた。
住民投票条例案を提案した田里千代基氏は「配備についてきちんと町民に説明し、意見を尊重しなければならない」と述べ、投票結果が出るまで工事を中止すべきとの考えを示した。
条例では、中学生以上の町民と町に住所がある永住外国人に投票権を与え、島内3集落で説明会を開催し、自衛隊配備に関する公平・中立な情報の提供に努めるとしている。
提案理由について田里氏は「自衛隊配備について町民の意思を明らかにするための公正かつ、民主的な手続きである」と述べた。
与党の前西原氏は「議会で一度否決された住民投票をやる必要はない」と反発。その内容についても「国防の根本的な部分を、思春期で未成熟な中学生に投票させるのは酷だ」と中学生にまで投票権を与える住民投票条例の制定に反対した。
田里氏は「2004年の市町村合併の際、中学生にも投票権が与えられ、住民投票が行われた。問題ない」と述べた
採決では前西原武三氏と大宜見浩利氏が反対、田里氏と崎元俊男氏が賛成の立場で討論。採決の結果、賛成3、反対2の野党の賛成多数で可決された。
防衛省では2015年度末までの陸自沿岸監視部隊配備に向け、南牧場で造成工事を行っており、今後も部隊配備の準備を予定通り進める考えを示している。