2年半ぶりにようやく日中首脳会談が実現。「中国と仲良くやれば八重山に自衛隊を配備しなくともよいし、尖閣警備や軍事費などで巨額の無駄金を使わなくてよく、加えて中国から観光客が増えて日本経済が潤うのに」とその対中姿勢を疑問視されてきた安倍首相▼これでようやく平和的になったかと思ったら、任期半ばのここに来て突然解散・総選挙に動き、「消費増税先送りのためになぜ選挙が必要か」とひんしゅくを買っている▼そこには選挙準備が進まない野党の間隙をついて、長期政権への基盤を強固にしたい首相の身勝手な思惑がある。しかしそのために700億円超とされる選挙費用が費やされるのはそれこそ税金の私物化だ▼ただ一方で、特定秘密保護法と並ぶ悪法と呼ばれる首相肝いりの労働者派遣法改正案が廃案になるのは、ひとまず安堵(あんど)だ▼同法は「生涯派遣、正社員ゼロ法案」と反発を受ける、低賃金の派遣労働者を限りなく増やし、貧困社会に拍車をかける若者いじめの悪法だ。しかし企業優遇の首相のこと、今後また提案の可能性は高い▼大義不明の今回の解散・総選挙に批判は強いが、沖縄にとって意義は大きい。それはあすの県知事選もそうだが、県外移設の公約を破った自民議員らが厳しい“洗礼”を受ける選挙になるからだ。(上地義男)
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