■前回初の八重山向け公約
今年の一連の選挙戦を締めくくる県内最大の政治決戦である県知事選は、今月30日告示、11月16日投開票まで3週間余となった。
今回初の保守・中道分裂となった同知事選は、現職の仲井真弘多氏(75)が自民推薦で3選を目指すのに対し、県議会野党会派と那覇市議会の前自民市議団ら保守層の一部、それに経済界有志が支援する前那覇市長の翁長雄志氏(64)、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)、前民主党県連代表の喜納昌吉氏(66)、会社代表の大城浩氏(48)が立候補を表明。各陣営は県内各地に選挙事務所を設置、既に集会も開くなど選挙戦は活発化している。
仲井真、翁長、下地の有力3氏は既に21日までに政策も発表したが、そこで今回も各陣営に要望したいのが、八重山地域向けの「選挙公約」である八重山版マニフェストだ。4年前の前回選挙で2期目を目指した保守系無所属の仲井真氏と、革新系無所属で前宜野湾市長の伊波洋一氏が異例にもそれぞれ初の八重山版マニフェストを発表、郡内の有権者から高い評価を得た。
■離島には離島の政策課題
今回の選挙も米軍普天間飛行場の辺野古移設の是非が大きな争点になる。 確かに前回選挙で「県外移設」を訴え、報道各社の当選インタビューで「県内移設はもうない」と言い切っていた仲井真氏が今回は一転、県外移転への努力も全くなしにただ沖縄に軍事要塞(ようさい)化を押し付ける国の圧力に屈し、辺野古移設にかじを切った公約破棄に対する是非を問い、さらに国の差別に対し沖縄の尊厳、主体性が守れるかどうかの極めて重大な選挙だ。
とはいえ離島の八重山にとっては、「離島の人々が島に安心して住むためにどうすればよいのか」といった離島ならではの課題が山積しており、県知事選はその離島の声を直接届ける4年に1度回ってくる大事なチャンス。
そこで前回両陣営の首長、県議、3市町村議員、選対組織が取り組み、各業界や団体などから意見を集約、それぞれ候補者と調整して初めて実現させたのが八重山版マニフェストだ。
仲井真陣営は「なかいま弘多のお約束」と題して産業振興と地域活性化など五つを柱に47項目の政策を発表。一方伊波陣営は「イハ洋一・八重山の5つの願い」と題して頼れる医療と安心できる介護など五つをテーマに19の施策を発表した。
■各陣営は今回も取り組みを
各候補者が知事になったら八重山のために何をするのか、各陣営は今回も取り組んでぜひ実現してほしい。
現職の仲井真氏の離島振興への取り組みと実績は評価できる。しかし新人の翁長氏は未知数だ。ただ那覇市長として那覇市民が周辺離島を旅行する際船運賃と宿泊費を補助する「島たび助成」を実施しており、離島への理解と関心は低くないようだ。
さらに各候補者には、八重山の観光産業に重大な影響を与えかねない石垣や与那国への自衛隊配備に対するスタンスも知りたい。それは主要候補が革新が支援する翁長氏を含め自衛隊容認の保守系だからだ。八重山版マニフェストを選択の判断材料としたい。