県のサンゴ礁保全活動支援事業を活用した八重山ダイビング協会(安谷屋正和会長)の名蔵湾サンゴ礁調査が今月から始まっている。九州大学大学院学院比較社会文化研究院の菅浩伸教授らのグループが作成した沈水カルスト3次元地形図をもとにポイントを決めて調査を行っており、沈水カルスト地形ならではのサンゴ分布を明らかにしたい考えだ。
初回の調査は今月1日から3日間行われ、ダイビング協会の佐伯信夫環境対策委員長のほか菅教授ら計5人が参加、設定した64カ所の調査地点のうち9ポイントで潜水調査などを実施した。
今回の調査では、研究者らがサンゴの種類や分布など生物学的な調査、協会は測量などでサンゴ群集の大きさなどを調べる予定だ。
調査には、衛星・航空写真を閲覧できるソフトウエア「グーグルアース」に3次元地形図を組み合わせたデータを使用。これにより、鮮明な地形図をもとにピンポイントでの調査が可能となり、ダイビング協会は「名蔵湾内の巨大なコブハマサンンゴも表示され、今後の調査に期待を抱かせてくれた」としている。
研究者の調査は11月にも予定されている。
カルスト地形は、海水面が下がっていた氷河期の陸域で石灰岩などの岩石が地下水系によって溶解、浸食されて形成され、その後の海面上昇過程で水没したもの。名蔵湾の沈水カルストは、日本最大級と言われている。
菅教授らが8月25日、名蔵湾の沈水カルスト3次元地形図を公表、「サンゴ礁の調査にも役立つのではないか」としていた。