■産業まつりは若手主導
八重山の産業まつり2014が「来て見て知って南の島の全部入り」をテーマに開催された。八重山3市町から68の製造業者、33の飲食店などが出店、恒例となった地産地消を競うY―1グランプリ、仕入れ業者とのバイヤーマッチング、新商品の展示や特産品の販売。イベント広場ではクイズ大会、舞踊、ライブもあり、天気にも恵まれて2万人余の来場でにぎわった。
ところで産業まつり実行委員会は、八重山青年会議所を中心に、石垣市観光交流協会青年部、石垣市商工会青年部など若手経済人らで構成されている。
本島で開催される産業まつりは「しまんちゅの心つなげる県産品」をテーマに開催されるが、実行委員会は沖縄県工業連合会、商工会議所など主要経済団体を中心に電力、セメント、ビール、製鉄など沖縄を代表する企業が加わり、八重山会場とは規模、内容、運営等で違いがある。
■経済団体も積極関与を
工業連合会や商工会議所が中心になって運営する本島の産業まつりに比較して青年会議所や各種団体の青年部が短期決戦でボランティア的に行っている八重山では組織力、事業の長期的展開の面で大きな差があるといわざるを得ない。地域経済の中心的存在である石垣市商工会や各種経済団体はもっと積極的に関わるべきではないだろうか。
本来商工会は町村に設置し、事業内容は主に小規模事業施策、経営改善普及事業となっており、管轄官庁は中小企業庁である。商工会議所は原則として市の地域に設置、商工会の事業に加え、国際的な活動を含めた幅広い事業を実施、管轄官庁は経済産業省経済産業政策局となっている。設立要件、意思決定機関、会員要件等に違いはあるが、県内では那覇、浦添、沖縄、宮古島に設置されている。
1972(昭和47)年の本土復帰時点で「八重山商工会議所」から「八重山商工会」へ組織変更、石垣市商工会に引き継がれているが、お隣の宮古島は離島ながら商工会議所を維持し、石垣市と友好関係にある犬山市は商工会から商工会議所へ組織替えした。
■モノつくり推進が課題
新石垣空港開港によりV字回復を果たし、本年度も25%増の伸びを示している八重山観光だが、単純計算で本年は115万人、観光消費額は700億円を目指す勢いになっている。那覇空港第2滑走路が完成すれば県全体で1000万人、八重山は環境保全を含め、受け入れ態勢を整えれば200万人、1400億円規模の観光地となることも可能だ。
外国人客は20%余と推計され、国際化推進や受け入れ強化は待ったなしだ。八重山経済は2次産業が弱く消費活動がほとんどで、利益が本土大手や外国資本に流れる現状を改善するためにも、国内外のマーケットを見据え、モノつくりを推進するため強力な経済団体が必要である。郡外資本に対しても地元主導で、切磋琢磨(せっさたくま)しながら共に発展する視点も重要だ。
八重山の産業まつりを成功させた行動力のある若い経済人が育ちつつある今、困難はあるが、若い力で商工会議所の復活に取り組むべき時期だろう。