郡内の小中高校では先月、子どもや家族の一大イベント「運動会」がピークとなり、各会場では昼食時に家族が自慢の弁当を囲んだ。本紙がこのほど運動会に参加した家族55組を対象に行った「食材費アンケート」で、弁当にかけた費用は1組平均7985円。食材を販売する市内大型スーパーは「運動会は100万円以上の市場」(40代店長)と重要視する。だが来年10月には10%への消費増税が検討されており、運動会に参加した父親(32)は「10%になったら空揚げの数が減るかも」と弁当の中身と家庭の財布のひもは、ますます引き締められそうだ。(砂川孫優、松井弥恵子記者)
本紙が9月23日に石垣市内で行われた運動会に参加した家族55組(278人)を対象に行った「食材費アンケート」結果で、食材にかけた費用は家族の人数で上下するが2000円から2万5000円まで幅広い額となった。1家族平均5人で、食材費用は平均7985円。1人当たり1580円だった。
これを市内の小学校児童数3259人(9月1日現在)に当てはめると約515万円。中学高の生徒1630人(同)を含めると約772万円。保護者も含めると数倍に膨れ上がり、単純計算だが運動会シーズンは一つのマーケットとして成立する。
■オードブル注文も増加
市内大型スーパーではこの時期に「運動会セール」を展開し商戦も激化する。ある大型スーパーの店長によると「売り上げが通常より約10%も増えるので運動会は重要な位置づけ」と話す。
オードブルの注文が100件以上殺到したという弁当販売チェーン「ほっともっと」石垣八島店の與那国英雄(53)オーナーは「2900円の重箱やプレートメニューが人気で売り上げは通常の約25%増。母親の手間が省けるので人気だと思う」と分析する。その反面「運動会の弁当は親の手作りがいいと思う。今の時代、作らない人が増えているので寂しくなるよね」と複雑な胸の内を明かした。
■家庭の財布事情は切迫
安倍首相は12月上旬に2015年10月の消費税率10%への引き上げの是非を最終決断する方針だが値段に敏感な主婦は口々に「これ以上の増税は反対」と切実に訴える。
家族4人で参加した母親(32)は「消費税の使い道や支払う意義をはっきりと示してほしい」と憤り、もう一人の母親(29)は「食品は非課税にするべきだ」と訴え、「家庭のお財布事情」は切迫しているという。
アンケートでは、今年4月の増税で9割の保護者が「家計に直撃」と回答したが、「運動会は特別なのでおいしい料理を作りたい」と話しており、子を思う母親の気持ちは増税の荒波をも乗り越えそうだ。