九州地方更生保護委員会第3部が沖縄少年院を仮退院する少年46人を対象に家庭環境などを調査したところ、約3分の2に当たる30人(65.2%)が保護者からのネグレクト(育児放棄)や放任、16人(34.8%)が暴力・暴言を受けていたことが分かった。同部の山内優子委員が10日、本社で調査の内容を説明した。山内氏は「実態を調査した46人の中には八重山出身者も含まれている。人ごとではない」と警鐘を鳴らした。
県内の少年非行の現状は①低年齢化や低学歴化②刑法犯の多さや集団化③初発非行の低年齢化と補導件数の多さ—が特徴。
家庭は生活保護レベルの貧困家庭が28人(60.9%)で、全国平均の28.8%を大きく上回っている。
初めて非行に走った年齢は5歳から小学6年生までが36人(78.3%)で、低年齢化していることが特徴。幼少時の万引から非行に入ることが多いという。
山内氏は「幼少時代から養育を放棄された少年が小学生の時に初犯となり、教育的な指導がないまま、中学生の時にさらに拍車がかかる。初犯での適切な指導が大事」と強調したうえで、「貧困、虐待、非行という連鎖が密接に絡み合っている。この現状は八重山でも多い」と指摘。
解消策については、授業についていけない子どもや不登校児童の解消、夜の居場所づくりを掲げており、「本島にあって八重山にないものは『児童館』。整備が急がれる。親が夜遅くてもこの場所ではスポーツや勉強に励める。市街地を中心に夜間保育所の充実も図ってほしい」と訴える。