電気系統の落雷被害で8月14日から、宮良配水池と石垣ダムへの送水を停止していた平喜名揚水機場は9日までに復旧、配水池とダムがカバーする約1700㌶の土地改良農地で農業用水の供給を27日ぶりに再開した。この間、石垣ダムが枯渇状態に陥り、島内五つのダムを連携させて総合運用を図る石垣島地区国営土地改良事業の必要性があらためて浮き彫りになった。
宮良川から取水し、宮良配水池に毎秒0.348㌧、石垣ダムに同0.8㌧を送水している平喜名揚水機場は8月11日、電気系統の落雷被害でポンプが故障し、14日から送水を停止。
このため、宮良配水池から供給を受けている宮良・白保地区の約500㌶では同日から、農業用水が使えなくなっていた。
この間、土地改良区や石垣市は周辺の給水所を無料開放して対応。石垣ダムについては、名蔵ダム系統の送水管につなぎ、緊急避難的に補給を受けて貯水量の確保に努めていたが、1日当たり給水量が2000~2500㌧と少なく、水位を回復できなかった。このため、8月28日から石垣ダムの配水を停止。約1200㌶の農地に農業用水が行き渡らなくなっていた。
新川奈良佐でサトウキビを生産する62歳の男性は「ロール現象も出ていたが、昨日からスプリンクラーが使えるようになった。今年の春植え株出しのサトウキビは、成長に今が一番水を必要とする時期」と安堵(あんど)の表情を浮かべる一方、「今回の農業用水の停止で、五つのダムをパイプラインで結ぶ国営土地改良事業の必要性をはっきりと理解できた。一日も早くやってほしい」と訴えた。
国営土地改良事業は、2014年度から12年間を予定。ダムの改修、揚水機や用水路の新設・改修などを予定している。受益面積は4338㌶。