【西表】環境省西表野生生物保護センター(福田真自然保護官)は3日午後、8月26日未明に西表島高那地区の県道で保護したイリオモテヤマネコの幼獣1頭を保護現場付近の林野で野生に帰した。
ヤマネコは生後約5カ月のメスで、発見時の状況や検査結果から交通事故に遭った可能性が高いと診断された。事故に遭ったヤマネコが野生復帰するのは今回が初めて。幼獣には識別用の首輪とモニタリングのための電波発信機を装着。移動状況などを確認するとともに保全につながるデータを収集することにしている。
幼獣の保護に関わった西表島ジャングルホテルパイヌマヤのレジャーガイドの菊地大貴さん(23)、西口雅喜さん(24)、幸坂友美さん(同)によると、発見者は東京農業大学の学生で、菊地さんらが同センターに連絡。
連絡から1時間半以内に血液採取やエックス線検査などの治療を始めたといい、福田自然保護官は「連絡が遅れていたらどうなっていたか。早めの連絡と治療が良かったと思う」と述べた。
同センターによると、幼獣は保護当初は力なく横たわっていたが、徐々に元気を取り戻し、放獣できるまでに順調に回復したという。菊地さんは「野生復帰と聞き、とてもうれしい。今後は事故に遭わず元気でいてほしい」、幸坂さんは「初めて見たのでびっくりした。生き延びて立派な成獣になってほしい」とそれぞれ語った。
福田自然保護官は「今回は事故の際、車のスピードが比較的遅かったことも助かる確率を上げたといえる。ドライバーにはゆっくり運転してほしい。高那地区は特に幼獣が道路に出てくる可能性が高いので気を付けてほしい」と呼びかけている。