■マナーの向上
南ぬ島石垣空港開港以来、好調に推移している八重山観光に受け入れマナーの問題が浮上している。行きたくても遠くて高い観光地であった八重山は、LCCの就航などで格安、身近、手軽な存在となり、若者でも簡単に行ける観光地になった。今や八重山は「安・近・短」の観光地に変貌している。
夏のハイシーズンには渋谷風の金髪ロン毛、ピアスギャル、パンツ腰履き男、スマホを手放さない旅行客等、都会の日常生活がどっと八重山の島々に氾濫した。この夏笑えない話が「八重山そば」のメニューに「これはそばではない、うどんではないか?」とクレームを付けた客がいたと思えば島の民宿に歯ブラシ、タオルが置いてない、シャワーのみで湯船がないなどのクレームが相次いだと聞く。業界は施設やサービスをさらに改善し、適正な料金でリピーターとなってもらえるよう評価を上げる努力が求められている。
本来、都会と異なる自然や文化、旅情を楽しむ非日常の空間が「旅」であるが、地元としてハード面の受け入れ施設強化の他、このようないわれのないクレームにも丁寧で的確な対応をおろそかにすると情報化の現代社会では悪評がインターネットを通じて拡散され、先細りの観光地となっていく。
■食材偽装は命取り
本土復帰後、食や生活習慣の違いで沖縄そばに対するクレームは昭和53年、公正取引委員会が「本場沖縄そば」と認証するまで6年の歳月を費やしたがLCC等で初めて沖縄を訪れる観光客は「沖縄・八重山そば」をご存じのない方も多いということだろう。
最近話題のホテルや外食店の食材偽装問題も観光地にとって命取りになる重要な課題となっている。所轄官庁は消費者庁だが、地方に出先機関がないため、今後、調査や指導、強固な罰則付きの措置命令を出せる権限を都道府県にも付与する方針を固め、法改正を準備中という。地域のブランドである石垣牛、伊勢エビや江戸前などの産地表示をしっかり守ることが業界に求められ、消費者の信頼がなければ地域の産業は崩壊する。
■条例化の検討
豊かな自然景観や環境を阻害するたばこ、空き缶のポイ捨て、ビーチの粗大ごみ、漂着ごみ、弁当ごみ、汚いトイレは観光地として目を覆いたくなる。
米原海岸(米原キャンプ場)では利用者へごみ持ち帰りの徹底、ビーチクリーン作業の義務化、入水時期、場所の設定、花火・バーベキューなど火気の禁止、サンゴ、魚介類採取、釣りの禁止など利用ルールを定めているが施設の整備や利用マナーの向上が遅れ、ホテルの担当者から観光地としての案内はできない状況になっている。
730交差点付近で夏場横行した飲食店の客引き行為は観光地にふさわしいとはいえず違和感を覚えた市民が多かったと聞く。沖縄県は迷惑防止条例で取り締まっているが、実効性があるとは言い難い。八重山3市町、議会、業界団体はこれら観光客受け入れについて速やかに実効性のある条例化を含む論議を進め、健全で安心、安全な観光地づくりが強く求められている。