本紙10日付の農業クラブ全国大会意見論文・「バニラに魅せられて」(八重農3年・加藤亮さん)を読み、感激した。以前にも書いたが、10数年前から「バニラの苗を石垣に入れたい」と友人に話していた▼産地のインドネシアやマダガスカル、中国などとは生産コストでかなわないが、バニラからはビーンズ、エッセンス、オイルが採れる。万人から好まれる香料で、特に種子のビーンズは、高価なために注目されている▼人工バニラの香料が出回る中で、本物を生産しているとなれば、インパクトは強い。加藤さんは「安心・安全な石垣島産をアピールしたい」と実に頼もしい▼2年前の春、八重農熱帯園芸科が大川の金城美沙江さん、農改普及所と連携してバニラの栽培をスタートしたと記事で紹介され、かなり興奮した。ラン科の植物は一般的に栽培が難しいと言われるが、さすが農業高である▼栽培、交配技術、ビーンズ取りも成功させ、さらにさやごと発酵・乾燥を繰り返すキュアリング、手作り装置までつくり、海洋博記念公園で行われたアジア太平洋ラン会議で堂々と発表している▼子どもたちのこの旺盛な好奇心は今後、地域を大きく変えてゆく可能性がある。苗の大量生産、栽培指導で八重農が大きな存在になる。父母や地域住民は側面から高校生たちをバックアップしよう。(黒島安隆)
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