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町民不在のドタバタ劇

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■駆け引きと思惑の辞表提出

 9月7日の任期満了に伴う町議選を前にした先月20日の6月定例議会最終日の辞職勧告決議に端を発した川満栄長竹富町長の一連の辞職騒動は、町長と町議会野党の政争と対立が激化したことによる、まさしく町民不在のドタバタ劇といえるものだ。

 しかも町民からは、「いったい何がどうなっているのか分からない」と不満や反発があるように、町長や町議会野党の当事者から十分な説明もないまま今後百条委員会設置をめぐり、さらに混乱が続きそうな状況にある。

 なぜ突然そういう騒動になったのか町民を納得させる丁寧な説明が町長と町議会野党の双方に求められるし、対立がエスカレートして今後さらに町政が混乱・停滞しないよう双方に自省と自制を求めたい。

 

■役場移転めぐり対立激化

 そもそも川満町長と野党の対立は、1期目最後の予算議会である2012年3月定例議会に役場移転を前提とした石垣支所建設費を与党に相談もなく突然計上したことに端を発する。当時は与党9人、野党3人の安定した町政運営だったが、町長が役場移転の姿勢を明確にしたことで移転に反対する与党議員が離反。現在の与党4人(1人病欠)、野党8人の少数与党に逆転した。

 その中で同年9月の町長選は、多数野党の擁立した候補者を破り再選を果たしたが、野党議員らは「明るいキャラクターの割には教育委員選任など案外、人の意見は聞かないし、町政運営は独善的」と対立は副町長人事を二度も否決するなどますますエスカレートし、今回の辞職騒動になった。

 当初野党の辞職勧告決議に対し続投を表明していた町長が、今月に入ってなぜ突然辞意(9日に辞表提出)を示し、突然辞意を撤回したのか。

 そこには野党の百条委員会設置に対する時間稼ぎや町議選と町長選のダブル選での多数与党確保などへの政治的思惑や駆け引きがあったのだろうが、この辞意をはじめ一連の辞職騒動に町長から十分な説明はなかった。

 

■おかしい野党の対応

 一方野党議員も、町長の思わぬ辞表提出に「本当に辞職を求めたものでなく、辞職に値する事態を引き起こしたことへの忠告の意味だった」と本意でなかったとしたのは、議会の議決を自ら軽視した無責任な言動であり、数に任せたおごり、町長への単なる嫌がらせと取られてもやむを得ないだろう。

 さらに百条委員会設置も、町長の進退で可否判断するのは論理的にいかがなものか。法的に違法性があるならしっかりと真相を究明するのが議会の務めであり、役場移転問題と同様「政争の具」にするのはやめるべきだ。

 竹富町では、野党が百条委に取り上げようとしている波照間製糖建設関連予算の明許繰り越し問題をはじめ、昨年から今年にかけて町長が議会で謝罪するミスが相次いでいる。これを町長は多数野党のいじめと取るべきでないし、ミスが相次ぐ職員のタガの緩みや、マンネリは当然是正されるべきだ。

 安倍政権下の日中・日韓関係が示すように、竹富町でも対立は町民にとってマイナスしかなく、対立からは新たな対立が次々生まれるだけだ。


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