参院選が公示された。八重山では石垣市長選、与那国町長選と続く選挙イヤーを迎えた。候補者たちの熱のこもった訴えが連日、新聞紙面をにぎわせることになる。しかし、私たち有権者は冷静でありたい▼選挙戦では、聞こえがいい魅力的な公約が飛び交う。観光振興、雇用創出、子育て支援―どれも大切な課題だ。だが、ここで問われるのは、その政策が10年後、20年後の八重山を見据えているのかということだ▼美しい自然と独自の文化を次世代に引き継ぎながら、住民が豊かに暮らせる持続可能な社会を築いていけるかどうか▼地元紙、県紙と合わせて4社の新聞が発行される八重山では、情報収集の機会に恵まれている。だからこそ、ひとつの新聞だけでなく複数紙を読み比べ、それぞれの公約をさまざまな角度から冷静に判断したい▼民主主義は多数決の原理で動く。しかし、それが「数の暴力」となってはならない。選挙で選ばれた候補者には、支持者だけでなく、ほかの候補へ票を投じた住民の声にも耳を傾けてほしい。そして私たち有権者も、選挙後の政治に関心を持ち続け、地域の合意形成に参加していく責任がある▼八重山の未来は、目先の利益ではなく、長期的な視点に立った選択にかかっている。1票の重みをかみしめながら、賢明な判断を下したい。(立松聖久)
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