八重山漁業協同組合(上原亀一代表理事組合長、328人)は27日、2025年度通常総会を石垣市民会館中ホールで開き、各議案を承認した。24年度事業では1231万円の黒字を計上した。組合員5人から挙がったカキ養殖に向けた漁業権の免許要望も承認した。
24年度は事業総利益1億559万円で、管理費を差し引いた利益は4159万円のマイナスとなったが、県漁業振興基金による外国漁船操業調査・監視事業などによる事業外損益で5426万円のプラスを確保したため1231万円の黒字を計上した。
25年度は事業総利益1億3126万円、事業管理費1億3251万円、事業利益マイナス124万円、余剰金1897万円を計画する。
上原組合長は「今年度は、クロマグロが県漁獲可能量の配分枠増で漁獲量は増加したが、他県でも水揚げが増加したことから魚価安となり、漁業所得向上とはならなかった。最盛期の5月下旬に採捕停止命令が発動されるなど厳しいスタートとなった」と述べた。
その上で「新鮮な水産物を県内外の消費地へ持続的に供給する体制の確立や観光と連携した地産地消を推進し、地域経済の発展と漁業所得の向上が図れるよう取り組む」と決意を示した。
漁業権取得要望は9カ所。このうち組合員5人が計8カ所でカキ養殖の特定区画漁業権の設定を要望しており、順調に手続きが進めば来年8月までには県知事の許可が下りる。カキ養殖について伊良部幸吉専務理事は組合員の質問に「交付金事業を活用して視察研修を行う準備をしている。琉球真珠がカキの養殖技術確立に取り組んでおり、可能と思う」と答えた。
琉球真珠㈱(渡嘉敷一史社長)によると、真珠養殖海面施設でカキの養殖技術確立に取り組んでいる。同社が人工授精、幼生飼育、沖出し、稚貝育成まで行い、種苗を生産・供給する仕組みをつくる計画だ。