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超過勤務を減らしてこそ

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■教員の多忙の程を知り

 構造改革で規制緩和が進んだ。だが、それがアダになり逆作用が働いている。今ほど働く若者が窮屈な勤労を強いられている状況は、かつてなかったのではないか。

 学校においても同様だ。教員の多忙さに関わる調査がこのほど発せられた。それを共有して改善に向かいたい。

 本来、学校は自由で伸び伸びと創造性あふれる営みを施すところだ。「教え・学び」とは距離のある事務処理等で超過勤務を余儀なくさせられる教員。やり残しを自宅に持ち帰り処理する担任。そこからは児童生徒と「明日の夢」を語り合う姿をイメージしにくい。

 

■OECD・県教職員組合調査

 経済協力開発機構(OECD)は、6月、中学校を対象に教員の勤務環境や指導状況を調査した国際教員指導環境の結果を公表した。

それによると我が国は、1週間の仕事時間54時間。参加国中で最長の勤務時間である。単純に労基法で定める1日8時間、週5日、40時間で考えると14時間もオーバー。毎日約3時間も超過勤務をしている。仮に勤務終了時刻を午後5時とすると、退庁時刻は午後8時ということになる。事務作業が多く授業以外の仕事に追われているという。生徒指導や部活動指導の実態からすると、この時刻はもっとずれる。

 気になる調査結果も残る。他国に比して、自らの指導に自信を持っていない傾向があるということだ。これは参加国中で最低。教材研究や、生徒と向き合う時間が少ないことがそういう思いにさせているのではないか。

 県教職員組合は、3月、幼・小中教職員の勤務実態調査を発表。それによると残業や休日出勤など1カ月の平均超過勤務時間は92時間。厚労省は過労死認定基準を80~100時間としているのでその範囲内ということになる。調査には休憩時間は含んでおらず、実態はもっと長い。家への仕事の持ち込みはほぼ毎日のようだ。

 このことが作用して教職員の93%が心身に疲労を感じている。昨年度、病気で休職した県内教員は過去最多の420人に上った。疲労感の内容としては小中とも事務処理をあげている。校長や教育委員会は管理強化や権威的な報告書などは廃し、教え・学ぶ場の充実に努めてもらいたい。 

 

■自ら超過勤務を減らす工夫を

 超過勤務や多忙感除去のために学級定数の改善、教職員の増員、持ち時数の減―と声高らかに叫んでも、法律の改正や財源が伴うもの。そう急激な変化は難しい。自らの工夫、自助努力で対処することが求められよう。

 学校行事の精選もその一つだろう。他府県の入学式や卒業式を見たとき実にシンプル。それでいて厳粛である。運動会も種目が厳選され、児童生徒は集中している。指導にそう手をかけているようには見えない。

 学期末の通知表なども簡素で無駄がない。

行事準備や事務等に時間をかける本県の教員を見たとき過度な努力をしているように映る。

 超過勤務の解消―それは、学校や教育委員会が持つ慣行的な固定観念を、融解する装置を自らに仕込むこと無くして難しい。


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