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海岸のプラ化を危惧 防衛大・山口氏

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海岸に漂着するごみ。ウリ型ブイが多く確認できる=3月20日、与那国島ウブドゥマイ浜(提供)

 八重山諸島の海岸で漂着ごみを調べ続けている防衛大学校名誉教授の山口晴幸氏(76)は28年目となる2025年春季調査で、増加傾向にある中国製ウリ型プラスチックブイとマイクロプラスチック(5㍉以下のプラスチック)を含む微小プラスチックの実態把握を試みた。調査結果からウリ型ブイによるマイクロプラスチック化と景観悪化、微小プラスチックによる砂浜海岸のプラスチック化を危惧する。

ウリ型が68%に

 海洋漂着ごみの調査は3月11日から4月15日にかけ36日間、7島(与那国島、波照間島、小浜島、西表島、黒島、竹富島、石垣島)を踏査して目視で行い、このうち7島45海岸21・68㌔でカウント調査を実施した。

 それによると、ウリ型ブイは長さ約55㌢、幅約25㌢で総確認数は5712個。海岸1㌔㍍当たりに換算すると263個だった。これに対して丸型ブイは2705個で同125個となり、ウリ型が全体の67・9%を占めた。

 ウリ型ブイの調査に着手した23年春季ではウリ型が40・2%、丸型が59・8%だったが、この2年間でウリ型が急増していることが分かる。ウリ型ブイの漂着を海岸1㌔㍍当たりで見ると、島別では与那国島が333個と最も多かった。清掃がしにくい海岸が多いことも要因の一つとみられる。

 ブイ類は海岸清掃で回収された箇所もあることから、実態はさらに多くなっているものとみられる。

劣化リスク、景観悪化  

 ウリ型ブイは、中が空洞で脆弱な構造となっていることから破断・破損したものを多く確認した。加えて軽量のため波や風でマングローブ群落や保安林・防潮林など海岸奥に入りやすいことから、劣化によるマイクロプラスチック化で海岸動植物生態系に有害リスクを与える新たな要因になると懸念する。

 さらにウリ型ブイの赤や青などカラフルで派手な色調が奇異な光景を醸し出し、自然景観を損ねる要因になっているとも指摘した。

微小プラ「大量」「多い」

 微小プラスチック調査は7島48海岸で実施し、「大量」「多い」「多少」「わずか」の4段階で評価したところ、「大量」が11海岸(22・9%)、「多い」が13海岸(27・1%)となり、この二つの評価が半数を占めた。

 微小プラは波で押し上げられ、海岸奥側に集積する漂着帯帯の木くず・くずごみや海藻類などに付着・混在して確認される傾向がある。このため海岸清掃が行われても、回収されずに残存している場合がほとんどという。

専属組織の設立を

 長年の調査から山口氏は「八重山諸島では海岸漂着ごみの80%以上は中国製ごみを主体とする外来の海洋越境ごみで、ますます増加傾向にある」と指摘。国家間の取り組みのほか、「最も効果的で実践的な水際対策は回収除去作業に尽きる」として永続的な回収除去システムの構築を提唱する。

 具体的には「公的組織をベースとした海洋漂着ごみ専属組織の設立が有効で効果的。専属組織が民間支援組織・団体との連携や年間計画の検討、地域への啓発活動、情報発信などを通し、持続的に海洋環境の保全に貢献することが可能となる」としている。

 微小プラスチックを軽減・抑制するための水際対策としては「海洋漂着ごみの回収と同時に熊手隊などを編成した清掃活動が有効とみられる」と提起する。


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