於茂登岳登山道入り口周辺で19日午前、石垣市のボランティアパトロール員などを務める渡辺賢一さんが昆虫採集用の誘引トラップ(罠)を確認、県指定天然記念物のコノハチョウが誘引されていたことから、石垣市教育委員会文化財課の職員らが「文化財保護法違反の恐れがある」としてトラップを撤去した。
トラップを仕掛けたという県外の男性2人は「コノハチョウは捕っていない。密猟者扱いされるのは不愉快だ」と訴えた。
トラップはこの日午前8時すぎ、渡辺さんが7カ所で見つけた。流しの排水口に使う網にバナナを入れ、樹木の高いところの枝につるしたもの。文化財課と環境課の職員がコノハチョウが止まっていることを確認して撤去した。
この後、昆虫収集家2人が現場を訪れ、渡辺さんから文化財保護法に違反する可能性があると指摘されると、「サキシマアオカナブンの採集が目的。コノハチョウは捕らない。トラップの回収に来ており、マナーも守っている」と抗議。押し問答する場面もあった。
2人は北九州市から訪れた71歳と76歳の男性で、カナブンなどを収集して標本にするのが趣味という。71歳の男性は「20年以上前から毎年3月と5月にきて昆虫採集をしており、今回もトラップを回収して帰ろうとしたところ。石垣島の自然の中に入って、のんびりと虫が飛んでくるのを待つのが至福の時間。せっかくお金を出して来ているのに、(密猟者と)疑われるのは面白くない。嫌な思いをして帰ることになる」と不満をもらした。
一方、石垣市が2014年度で検討を予定している、自然環境保全条例に基づく希少動植物の保護種と保護地域の指定について「地域指定をすれば、そこには入らない」と話した。