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豊年祭の季節を迎えて

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■ピーク迎える豊年祭

 去る7月7日から数日間、沖縄地方を襲った台風8号は、宮古島と沖縄本島地域に大きな被害をもたらした。強い風と豪雨に襲われて特別警報が発令され、県内20市町村で59万人に避難勧告が出されるなど、きわめて大きな災害であった。

 今度の台風は、八重山地域で空の便に一部乱れがあり、サトウキビの倒伏、マンゴーの落下などはあったものの幸いそれほど大きな被害はなかった。ただ、これから数カ月間は台風が襲来する季節でもあり、平素から私たちも十分な対策を講じておく必要があるだろう。

 八重山地域の先人は、台風などの天変地異から身を守り、五穀豊穣(ほうじょう)を祈るための大切な祭祀(さいし)を執り行ってきた。夏から初秋にかけては、プーリィ(豊年祭)やソーロン(旧盆)など天からの恵みに感謝しつつも、敬虔(けいけん)な心で安全を祈願する祭事を育み、今日まで引き継いできたのである。私たちは、先人が築き上げ育んできた伝統的な祭祀を、大切に受け継いでいく必要がある。

 八重山各地では、すでにプーリィが催されているところもあり、これから開催される地域も少なくない。7月10日には、川平の赤イロ目宮鳥御嶽で大きな石を担ぎ上げて境内を回る「ビッチュル」など豊年祭が行われた。(本紙7月11日掲載)

 大浜は12、13日に豊年祭が行われ、上村(ウイムラ)と下村(スムムラ)に分かれて100㍍の大綱引きが行われた。鳩間島では13日に、独特の黄色い衣装に身を包んだ「カムラーマ」や旗頭、棒術、ハーリーなどで子孫繁栄、五穀豊穣を祈願して豊年祭を終えている。

 さらに、これからは、7月20~21日に宮良のプーリィ、21日には新川、大川、石垣、登野城四カ字の村プーリィが予定され、白保、平得・真栄里、黒島、干立など豊年祭の季節を迎えている。

 

■地域ごとに祭りに個性

 八重山の祭事は、本年の豊作を感謝し、来年の五穀豊穣を神々に祈ることに重要な意義があるが規模や内容は、それぞれ地域ごとの個性があってきわめて興味深い。八重山の祭りは「海のかなたから豊じょうを携えてやってくる神を迎えるまつりである」(波照間永吉氏著『南島祭祀歌謡の研究』)と定義できよう。

 海にへだてられた多くの島々からなる八重山は、地域によって言葉や風習がかなり違う側面があり、祭りの内容や形も旗頭、獅子舞、綱引きなどをはじめ、古式ゆかしい古見、小浜、新城、宮良のアカマタ・クロマタ神事や黒島のパーレークイ(爬龍船競漕)など長い年月にわたって、引き継がれている祭事が今日まで生きている。八重山の祭りや芸能は、敬虔な中にも、いかにも南国らしいおおらかで明るい遊び心にも満ちている。

 

■個性豊かな祭事を地域活性化に

 新石垣空港の開港により、さらに多くの人々が八重山を訪れるようになってきた。美しく雄大な自然に魅せられるとともに、南国の音楽や舞踊などの芸能文化、個性的で地域色豊かな祭事にひかれて訪れる人々も多い。

 これら地域色豊かな資源を生かして、観光産業、農林水産業、伝統工芸などの活性化の動きがみられる。今夏は、勢いのある明るい地域づくりに向けて、地域住民をはじめ行政もこれら伝統的な祭事を力を合わせて盛り上げたい。


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