【鳩間】鳩間島の豊年祭は12日、舞踊の奉納などを行う「トーピン(当日)」を迎え、地域住民や郷友会員らが「桟敷(さんしき)」と呼ばれる桟橋近くの広場で鳩間独特の「カムラーマ」や旗頭、ミルク、棒術、舞踊、パーリー(船こぎ)などを奉納して子孫繁栄と五穀豊穣(ほうじょう)を祈願した。この日は週末とあって島外からも大勢の郷友会員が参加し、普段静かな島は豊年祭一色に染まった。
豊年祭は夜を通して祈願する「ユードゥーシ(夜こもり)」を11日に行ったあと、12日の「トーピン」を迎え、13日には綱引きなどが行われる。
この日は午前11時ごろから各御嶽ごとに祈願を行ったあと、クバの葉を頭に巻いた氏子らが友利御嶽に集合し巻踊りを奉納。「みちうた」を歌いながら桟敷まで行列した。
桟敷では午後1時から東、西村の旗頭に続いてミルクが神酒や作物を持った婦人たちを引き連れて巻踊りを奉納。鳩間島独特の黄色い衣装に身を包んだ「カムラーマ」が登場し、子どもたちとユーモラスな踊りを披露した。
会場では東・西村ごとに迫力ある棒術の奉納や婦人部による「稲しり節」など舞踊が次々と繰り広げられ、駆けつけた大勢の郷友会員らが故郷の神事を見守った。
このうち、38年ぶりに豊年祭に参列した大城覚さん(58)=名護市=は「大学時代に一度参加して以来の豊年祭。人口は減っているが、伝統を守っていく島の人のエネルギーは昔と変わらず、とても素晴らしい行事だ」と感慨深げに話した。
奉納芸能の後は、東と西村の対抗でパーリー(船こぎ)を行い、今年は西村が勝利した。13日は綱引きが行われ来年の五穀豊穣を祈願し、豊年祭を締めくくる。