【与那国】1988(昭和63)年の就航から、26年間にわたって石垣との間を結んできた福山海運の「フェリーよなくに」(498㌧)が11日、最後の航海を行った。町民の暮らしを支えてきた海の足の最後を見送ろうと、久部良漁港には町民や元船員らが見送りに訪れ、「フェリーよなくに」が午前10時に石垣へ向かって出港すると、「ご苦労さん」「ありがとう」などの声が上がった。新たな「フェリーよなくに」(753㌧)は18日に就航する。
同船はカーフェリーとして車両や大型貨物の輸送に活躍。観光客の入域にも貢献してきた。退役後はインドネシアの航路に就航することが決まっている。
福山海運によると、新「フェリーよなくに」は熊本県八代市の熊本ドックで建造。旅客定員はこれまでの100人より20人多い120人。船脚も速くなり、与那国石垣間はこれまでの4時間半から3時間40分に短縮される。
新「フェリーよなくに」は14日に熊本を出た後、15日夕に石垣港に到着する。その後、石垣与那国間で2往復のテスト航海を経て、18日に就航する。
この日が2475航海目となった「フェリーよなくに」は大漁旗で飾り付けが施され、最後の航海に出発。久部良漁港では見送りの人たちが船影が見えなく手を振り、別れを惜しんだ。久部良漁港には美空ひばりの「港町十三番地」が流れ島に対する26年間の貢献に目頭を押さえる人の姿も見られた。
大島正源船長(51)は「おかげさまで無事故の航海ができました」と感慨深げに話していた。(田頭政英通信員)