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ペーブクのサガリバナ咲く

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■300人余訪れ開花式

 石垣市最北部、平久保橋近くの農道沿いにある「サガリバナ群落」でペーブク(平久保)のサガリバナ保存会(米盛三千弘会長)主催による本年度の開花式が5日夜、開催された。会場には市民や観光客など300人余が訪れ、日没から明け方までひそやかに咲く幻の花の開花式を楽しんだ。

 サガリバナは常緑高木の東南アジア原産で、熱帯や亜熱帯地方に分布し、国内では奄美大島が北限で、マングローブの後背地や川沿いの湿地に自生し、夏から秋にかけ夜間に咲く香りの高い花だ。緑の多い八重山にはマングローブ群落、サキシマスオウノキ、ヤラブ並木、八重山ヤシ群落など多くの見どころがあるが、花に限ってみると、カンヒザクラやテッポウユリ群落があるものの全国的なアピール度からすると、現状ではやや弱いとされている。

 平久保のサガリバナは米盛三千弘・邦子さんご夫妻が9年前に個人所有の畑の森の中から大きな古木を発見したことがきっかけで同保存会を結成。周辺300本余の森を地域活性化に生かそうと、会員のボランティア活動で害虫、雑草駆除、枝葉の手入れ、遊歩道の設置など自力で保護・管理を行っている。さらに森の奥地には4万本余が自生する世界最大級のサガリバナ群落も環境省により確認され、国立公園拡張が視野に入っているという。昨年は沖縄県の「花と緑の名所100選」に指定され、注目度が高まってきた。

 

■奥地に4万本余の大群落

 新石垣空港開港後、好調な八重山観光だが、観光産業は持続力が重要で、ブームに終わらせないためにも新たな魅力づくり、情報発信が課題である。

 八重山は豊かな自然と歌や踊りなどの文化や人情の深さが共感を呼んで国際的にも注目度が高い観光地に成長してきたが、さらにスポーツや星空のイベントで盛り上げを図り、成功しつつある。

 石垣市観光交流協会は新たに「花の島」としてサガリバナを取り上げ、昨年秋、同会創立50周年記念事業として、会員らによる100人植樹を行った。低迷している観光消費額を高めるためにも宿泊日数の増加は大きな課題で、サガリバナや星空など健全な夜の観光は新たな感動を呼び込み、「さらに1泊」の強い動機となる。

 

■現代の花咲かじいさん

 全国各地では「さくら祭り」が開催されにぎわっているが、花の命は短く、ピークは1週間程度である。サガリバナは6月から9月までの長期間楽しめ、宿泊を伴う誘客に効率が良く、植栽して3年程度で花が咲き、成長が早い。

 奈良県十津川村の山里に枝垂れ桜が咲き競う桜の園がある。約25年前に千葉七朗さん(78)と妻の黎子さん(75)が自宅近くに植えて増やした桜が今では立派な桜並木となり、春を迎えると花見客で大変なにぎわいをみせている。その桜並木はいつしか「七朗桜」と呼ばれる名所になり、千葉さんご夫妻を現代の花咲かじいさんと伝える朝日新聞の記事がある。

 米盛さんご夫妻は石垣島の花咲かじいさんと呼ぶにふさわしく、行政は地域振興のため、駐車場やトイレを整備するなど温かく支援の手を差し伸べる必要があるだろう。


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