11月の県知事選は仲井真弘多知事の3選出馬が濃厚だが驚くのは75歳の年齢ながらなお続投に意欲をみせる、その衰えぬ政治的野心だ▼60代でもあちこちガタがきて気力も衰えてくる。その点全国最高齢の仲井真知事も、議会で答弁書を目にくっつくほど近づけて答弁する姿に高齢の懸念は隠せない。しかし知事が元気だから支持者は3選出馬に大合唱なのだろう▼知事に対しては離島に目を配り、普天間も「県外移設」を主張して政府を振り回すその姿に、静かに抵抗する「沖縄のオジー」の頼もしさを感じていた。それが土壇場で辺野古埋め立てを承認したのには、がくぜんとした▼その国の功労者も、今回ぎりぎりまで進退を明言しない巧妙な3選へのシナリオが狂い、一転お役御免の使い捨ての危機にある。自民党本部が「3選は厳しい」と突然出馬に難色を示したためだ▼これに対し県連(西銘恒三郎会長)は現職擁立を決めた。しかし会長自身がかつて公約破棄を先導し、県連も党本部の圧力に屈して辺野古移設を容認した前科があるだけに、まだ分からない▼誰が出るにせよ、今回の知事選は辺野古移設で米国への忠誠を誓う国と、基地押しつけに抵抗する県民の代理戦争といえるものだ。沖縄はカネでどうにでもなると本土の人々に今度はいわれたくない。(上地義男)
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