石垣市川平の豊年祭が10日、浜崎、群星、山川、赤イロ目宮鳥の各御嶽であり、群星御嶽で旗頭が奉納されたほか、赤イロ目宮鳥御嶽で「ビッチュル石」を担ぎ上げて奉納する独特な儀式があった。八重山の豊年祭は川平をトップに本格化し、今年の豊作に感謝し、来夏世(クナツユー)の豊じょうを祈願する神事が8月上旬まで続く。
ビッチュル石(カーラ石)は願人(ニガイビ)の大屋広男さん(61)の祖先が漁をしていた時に何度も網にかかった石を持ち帰ったもの。重さは約60㌔といわれるが、年々大きくなっていると伝えられている神秘的な石。村の繁栄や豊作をもたらすものとして奉納されている。
大屋さんが祈願を済ませた後、「イヤー」という掛け声でビッチュル石を境内の中央に運び出すと、その迫力に歓声が上がった。
5人の担ぎ手がビッチュル石を担ぎ、一歩踏み出すごとに「ユイ」と声を出して左回りに境内を3周半回った。御嶽には地域住民や観光客などが訪れ、声援と拍手を送った。
担ぎ手の大浜吏朗(りお)さん(30)は「毎年重くなっている。周数は奇数と決まっており、5周を回った人はいない。いつか成し遂げたい」と意欲。息子の吏壱(りいち)君(7)は「あんな重い物を持ってすごいと思う。将来は自分も担ぎたい」と話した。