「タイムカプセル」というと、多くの学校で卒業記念行事として行われている。ほとんどが、開封時期を成人式に合わせており、新成人の楽しみのひとつ▼何度か開封光景を見たことがあるが、誰の目もキラキラ輝いている。子ども時代の「宝物」を何度も触り、感激のあまり涙を流す人もいる。亡き親に宛てた手紙があると、もらい泣きする▼先日、久しぶりに県営浦底農道を通った。東部の星野地区から西部地区の桴海太田を結ぶ山越え道路だ。結婚を許されなかった桃里村の女と桴海の男の悲話伝説の地だ▼浦底農道は1986年(昭和62年)に整備されたが、その山の谷間に架かる浦底橋には、タイムカプセルが埋められている。橋のコンクリート打ちの前に、住民から募った「思い出」を密封容器に収めた▼県職員は2~3年で転出、当時の職員の中には定年退職した人も少なくない。担当課に記録はあるが、この話を知らない職員が多いと思う。県は絶対に忘れないでほしい▼橋の中のタイムカプセルには、筆者の家族写真や手紙もある。橋の架け替えは60~70年と聞いた。開封時にはこの世にいない。手紙は子孫に宛てたものになる。自分の人生の一部が残るというワクワク感、もっともっと欲しい。あらゆる公共施設に市民の思い出を収めることを要望したい。(黒島安隆)
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