竹富町農林水産課(野底忠課長)は本年度、県の鳥獣被害防止総合対策事業を活用し、小浜島、黒島、西表島を中心にカラスの駆除を実施する。カラスにより西表島のパインなど作物や小浜島、黒島の子牛に被害が出ていることから、被害防止に向けて町猟友会(河合正憲会長)の会員35人で構成する町鳥獣被害対策実施隊が銃器で駆除を行い、町が1羽あたり1000円を支払う形で年間250羽の駆除を予定している。(上地矢寸志記者)
同課によると、西表島ではパインを中心に作物への被害が発生している一方、黒島では今年1月に子牛が被害に遭い死んでいるほか、小浜島でも子牛がカラスにつつかれてケガを負ったためセリ価格に影響が出るなど、黒島・小浜島ではこれまでに十数頭の被害が出ているという。
町では黒島と小浜島で年3回ずつ、銃器を使ったクジャクの駆除事業を展開しているため、クジャク駆除と併せてカラスの駆除も実施する方向で調整を進めている。
同課の野底課長は「西表島ではカラスの駆除を猟友会にお願いしていた。会員の少ない小浜や黒島では、生まれたばかりの子牛がカラスにつつかれたケガが原因で死ぬなど、畜産への被害が出ている。農家には深刻な問題で安定的な農業経営のためにもクジャク駆除と調整しながら一定のカラス駆除を行いたい」と話している。
このほか、波照間島や黒島では自転車に乗せてあった観光客の荷物をカラスがあさり、中身が散乱。荷物をカラスに持ち去られるケースもあることから、野底課長は「一定程度、カラスを駆除することで観光客への被害も軽減できるのではないかと考えている」と期待する。