沖縄戦終結から69年目の「慰霊の日」の23日、糸満市の平和祈念公園内にある「平和の礎」には、早朝から八重山出身者をはじめ多くの遺族が続々と訪れ、沖縄戦で犠牲になった肉親の冥福を祈り平和への誓いを新たにした▼毎年、この日を迎えるたびに胸打たれるのは、白髪が増し顔にシワを刻んで老いていく遺族の涙をみることだ。子や孫と一緒に手を合わせ、礎に刻まれた肉親の名前をなぞる。戦後、何年たっても追慕の情が薄れることはない▼国内で唯一の地上戦が行われた沖縄では、当時の人口の3分の1に相当する約20万人余の尊い命が犠牲になった。沖縄全戦没者追悼式で県遺族連合会の照屋苗子会長は「戦争はこの世の地獄。人間が人間性を失い、惨劇が起こる」と強調、恒久平和への精進を誓った▼私たちは、悲惨な沖縄戦から戦後沖縄の原点「反戦・平和」の心を学んだ。しかし、安倍政権下では、戦争を経験したことのない政治家による憲法9条の無力化によって「戦争のできる国」への動きが一段と加速している▼「戦争は二度と繰り返してはならない」と訴える遺族らの願い。高齢化する戦争経験者は、いつか来た道の戦前回帰を危惧する▼歴史に学ぶという教訓から戦争の残酷さを語り継ぎ、再び悲劇を繰り返さない不戦の誓いをみんなで考えたい。(鬚川修)
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