■正確な伝承普及に貢献
本社主催の「八重山古典民謡コンクール」は「広く沖縄県および日本全国の八重山民謡を愛好する人々から新人の参加を募り、正確な八重山古典民謡の伝承普及をはかるとともに、卓越した新進歌い手の発掘・後進の育成の場とし、よって八重山の音楽文化の発展向上へ寄与すること」を目的として1975(昭和50)年10月にスタートし、今回で記念すべき40回の節目を迎えた。
美しく格調高い八重山古典民謡を正しく保存育成することを趣旨に、八重山毎日新聞創刊25周年記念事業として実施した1回目のコンクールには、「新人賞」「優秀賞」「最優秀賞」の3部門に95人が応募、最優秀賞に1人、優秀賞に3人、新人賞に37人で合格率が43.2%という狭き門であった。
以来、星霜を重ねて40回目を迎え、80年に開設した「奨励普及賞」部門を加えて今日に至っている。この40年間の応募者については、年によって増減はあるものの、およそ200人前後で推移しており、近年では、県内はもとより北海道、東京、千葉、大阪など全国各地から多くの八重山古典民謡を愛好する人々が参加するようになっている。
■合格率36.5%の難関
今回は、去る13、14、15の3日間にわたり、最優秀賞以下各部門の審査が厳正に行われ、悲喜こもごものうちに結果が発表された。「奨励普及賞」に12人、「新人賞」に39人、「優秀賞」に14人、「最優秀賞」に5人の合わせて70人が喜びに輝き、合格率は36.5%という厳しい結果であった。
日ごろの努力が実を結び合格された皆さんに心からお祝いを申し上げるとともに、残念ながら実力を発揮できなかった方々には、めげることなく来年以降のさらなる精進を期待したい。
40年間に及ぶ本コンクールには、総計で5486人が挑戦し、2707人が合格している。「奨励普及賞」354人(合格率88.9%)、「新人賞」1447人(合格率60.8%)、「優秀賞」に704人(合格率42.0%)、「最優秀賞」に202人(合格率19.5%)が合格し、全体での合格率は49.3%である。
■新たな担い手育成で継続実施
八重山の先達は、ユンタ・ジラバ・アヨーなどの労働歌や神歌などの古謡に加え、三線に乗せて歌われる節歌など格調高く美しい音楽の数々を創造し私たちに残してくれた。これらの美しい旋律と詩句を正しく受け継ぎ、次の世代に残していくことは、私たちの当然の責務である。
八重山の歌三線を正しく継承していく上で、八重山古典民謡コンクールが多くの優れた歌い手を世に送り出した意義は大きいし、新たな担い手を発掘し育てるためにも、八重山古典民謡保存会はじめ関係団体、行政機関等の協力を得ながら、今後も継続実施していかなければならない。
来る10月25日(土)に、石垣市民会館において第40回「八重山古典民謡コンクール発表会」を開催する予定であり、多くの皆さんのご鑑賞を期待したい。
また、来年2月15日には、「八重山古典民謡コンクール40回記念東京公演~ばがー島八重山うた~」を「北とぴあさくらホール」で開催する予定であり、県外の皆さまに八重山の歌や踊りを披露する準備を進めている。
40回目を契機として主催者、出演者、審査員および八重山の風土や芸能を愛する全ての人々が、八重山古典民謡の保存継承とさらなる飛躍を目指したいものである。