石垣市内のタクシー事業者2社が初乗り運賃等の引き上げに関する申請を4日、沖縄総合事務局に行ったことが分かった。最低賃金の上昇や燃料費など物価高騰の影響を受け、経営基盤の立て直しを図る狙い。沖縄県離島地区のタクシー運賃改定を巡っては、先月14日に宮古島市の法人タクシー事業者が同局へ申請済み。今後、石垣市内でも他のタクシー事業者の申請が加速するとみられる。
同局は2022年12月14日に「沖縄県離島地区タクシーの運賃改定申請」の受け付けを開始。ことし3月13日まで3カ月間、事業者から申請を受け付ける。
同局によると、離島地区法人タクシー事業者全体の車両数は506台(43事業者)。このうち、7割にあたる355台分の申請があれば審査に入り、運賃改定の要否を判定する。必要性が認められれば、遅くてもことし10月ごろまでには改定される見込み。
久米島や伊江島、先島諸島を含む県内離島の運賃は一律で定められていて、現在の初乗り運賃(普通車)は470円。
申請を行った市内2社によると、初乗り運賃(同)は530~550円で申請した。代表者は、昨年10月から最低賃金が時給853円に上昇したうえ、ロシアのウクライナ侵攻で燃料費、車両の部品が「倍以上に高騰している」とし、「このままでは利益が圧迫され、乗務員の給料にも影響が出る。政府は賃上げを促進させて景気の好循環をつくるよう働きかけているが、今のままでは無理だ」と嘆息を漏らす。
運賃の引き上げ申請については「利用者さまには申し訳ないが、現状だと雇用も難しくなる。給料をアップさせて人材不足解消へ踏み出すためにもご理解いただきたい」と話した。
消費税上昇に伴う値上げを除く県内離島地区で実質的な運賃改定は、2016年10月1日に実施されている。
6日時点で、同局への運賃改定申請を行ったのは宮古島市内1社(31台)、石垣市内2社(34台)。
県内タクシー事業関係者は今後、離島地区で運賃改定の方向性が定まれば「沖縄本島内でも改定の動きが出てくるだろう」と予測している。