今年に入り同級生や同期生が相次いで亡くなり、相前後して林隆三や地井武男ら4、5歳先輩の有名俳優が70歳前後で次々よみの国に旅立つふ報に接すると、まだ若いと思いつつも、やはり「死」を意識してしまう▼そこで同様に意識せざるを得ないのが、本紙でシニア面を担当している関係上、最近良く資料が入ってくる「終活」のことだ▼「終活」は週刊朝日の造語で、当初は葬儀や墓の準備、身辺整理など人生の最期に向けての事前準備のことだった。それが今はそれだけでなく、死を考えることで自分を見つめ、残された人生を自分らしく、より良く生きる活動をいうらしい▼かつて死を語ることは「縁起が悪い」とタブー視された。現在はそれが入棺体験したり、残された家族が死後困らないよう自分の思いや希望を伝えるエンディングノートの書き方でセミナーが開かれるなど、ブームという▼入棺体験者によると、狭く暗いひつぎの中では親や健康を大切にしなかった後悔など、さまざまな思いが脳裏に浮かび、「まだ死にたくない。酒を控えたばこをやめよう」など生きることを考えたという▼人生の終わりを後悔なくどう締めくくるかという「終活」。ずぼらな自分でも死を知らせる人のリスト作り、延命治療の有無、葬送曲の選定程度はできるかも。(上地義男)
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