江戸の昔、極刑の「打ち首」を執行する場に土で壇を築いた。「土壇場」である。転じて「決断を迫られる最後の場面」、あるいは「進退きわまった状態」をさすようになった▼猛威を振るう新型ウイルス「第4波」。まん延防止重点地区にとどまっていた沖縄県も、ついに緊急事態宣言発令に踏み込まざるを得なくなった。玉城デニー知事が大型連休前の宣言を求める声と経済のはざまで揺れたのは事実だろう▼でも首相や閣僚、自民党重鎮などから相次ぐ「沖縄いじめ」のような発言はいかがか。河野太郎沖縄担当大臣は、子どもの貧困について「若いうちの妊娠が引き金」と発言。細田博之元官房長官は「国の対策に頼るなんて沖縄県民らしくない」など▼菅首相は会見で「(県に酒類提供停止を)お願いしたが、沖縄の事情でできなかった」となじった。基地問題で国にあらがう沖縄への意趣返しにも聞こえる▼そもそもの話になるが、初期の外航クルーズ船水際対策といい、GoTo対応といい、抑止に逆行する施策を続けて感染拡大させたのは、どこの誰か。「GoToが要因というエビデンスはない」と言い続けたのはどなたか▼さておき、東京五輪・パラリンピック大会の日時が迫る。可否判断いずれにせよ、どんな結果が待ち受けるか。いよいよ「土壇場」である。 (慶田盛伸)
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