新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言が23日から沖縄県全域で適用される。6月20日までの期間、酒類・カラオケを提供する飲食店に対する休業のほか県民には外出自粛、部活動休止など幅広く要請される。県内では連日、過去最多の感染者数が確認され、石垣市内でも感染拡大が止まらない。要請への協力徹底を求める声がある一方、「適用決定から開始までの期間が短い」と対応に戸惑う対象業者もいる。
石垣市内でカラオケ店や焼き肉、ホテル、タクシーなど幅広く営む男性(47)は「休業要請には応じるが、周りに守っていないところが多すぎる。感染者が増えている現状を見ると、もっと徹底してほしい」と語気を強める。
美崎町にある飲食店の店長は「ゴールデンウイーク(GW)から昨日まで観光客がたくさん来店した。マスクなしで来る人もいた。確かに売り上げは上がるけど、従業員の感染リスクや家族への影響を考えると、休業にした方がまし」と休業要請に応じる考え。一方、「市や議会がもっと早くから大々的に呼びかけしてほしかった」と不満も。
母親と娘の三世代で22日に市内スーパーに訪れた30代女性は「前ほどは危機感もないし、周りも外に出てる。まん延防止のときと何が変わるのか正直わからない。観光客を止めた方がいいのでは」と首をかしげた。
まん延防止の対象は郡内では石垣市のみだったが、全県対象の緊急事態宣言では竹富町と与那国町にも拡大する。
西表島西部で飲食店を経営する40代男性は「緊急事態宣言の適用決定から開始までの期間が短く、内容も分かりにくい。県の要請には協力するが、土日なので行政の問い合わせ窓口が閉まっている。23日を前に細い点を確認したかった。ホームページさえ見ることのできない年配の経営者は大変だと思う」と話す。
与那国島のある宿泊業者では、国が宣言発令を決めた21日に10件弱のキャンセルがあった。GWが繁忙期だったため、大きな打撃にはつながらないと見込む。
今後の宿泊部屋数は半分以下で推移すると予測し、「7月にはカジキ釣り大会があるので、その時までに宣言が終わればありがたい」と願う。
緊急事態措置の内容は多岐にわたり、部活動も原則休止となる。石垣市内50代の保護者は「密にならないよう工夫して短い時間でもやってくれないか。部活がないと帰宅後はゲームばかりで生活のリズムが狂ってしまう」と心配顔だ。