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再び「売れるのになぜ?」

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■行政の怠慢で伸び悩み

 6月1日に開催される海人(ウミンチュ)の最大の祭りハーリーも目前に迫り、八重山の夏の味覚を代表するパインとマンゴーのシーズンがやってきた。いずれも「フルーツの王様」として八重山を訪れる観光客をはじめ郡外の親しい友人らに贈答品としてゆうパックや宅配便でも人気の熱帯果樹。いわば農家にとっては「石垣牛」と同様、作れば売れる八重山の売れ筋商品ナンバーワンの特産品だが、なぜか生産量は一進一退を繰り返し、依然伸び悩んでいるのが現状だ。

 このことは5、6年前にも指摘したが、生産が増えないのはなぜか。

 しかも石垣牛も含めそれぞれ7、8年前、石垣市と竹富町は県から拠点産地に認定されている。なのに生産量が伸びないというのは、結果として県をはじめ当該市町村は怠慢を指摘されてもやむを得ないだろう。

 それは周知の通り「売れるものをつくって売る」のが市場経済やもうかる農業の原理原則。そのことによって農業も振興できるし地域経済も振興が図れるからだ。行政や農協は結果が出るようにしっかりテコ入れすべきだ。

 

■増産できない理由並べるな

 県や石垣市の資料で過去5年の生産量を見ると、パインは2008年石垣市1455㌧、竹富町483㌧が12年は1243㌧と431㌧と、その以前からそれぞれ一進一退を繰り返している。農家数も石垣市は08年の109戸が12年は106戸に減り、竹富町は38戸前後で推移している。

 一方マンゴーも、石垣市の農家は40戸が49戸に増えたが、生産量は08年72㌧、09年70㌧、10年88㌧、11年84㌧、12年73㌧とパイン同様一進一退だ。

 なぜ生産が伸びないか、その理由は当然いろいろある。まずパインは、農家がそれぞれ個々の民間業者を通じて本土などに出荷販売しており、販売面で農協に主導権がなく、組織的な生産体制の弱さが指摘されている。

 さらにパインも石垣牛と同様、最初の収穫まで約2年半かかり、その間収入がない上に軌道に乗るまで4、5年かかる新規参入の難しさがある。

 マンゴーは何と言っても天候に大きく左右される栽培の難しさがある。

 

■行政は「拠点産地」支援を

 ただここで明確に言えるのは、できない理由を並べ立てると増産は到底できないということだ。どうすれば増産できるか、そこに行政も農協も農家も全力を傾けるべきだ。しかも現在は、昨年3月開港の新空港効果で観光客が激増。地元だけでも年間100万人近くの“巨大マーケット”ができた。

 この他に本島や本土へのゆうパックや宅配もある。八重山農業と経済振興のために生産体制を強化し、しっかりと巨大市場の需要にこたえる必要がある。それは農業だけでなく、その他の各産物にもいえることだ。

 県はキビに関しては離島農業振興のために、各島で巨費を投じて黒糖工場の建て替えを進めている。拠点産地認定のパインやマンゴーに関しても、パインの種苗生産施設整備などそれ相当に県や当該市町村、農協の支援があるべきだ。現状の生産の伸び悩みをみると拠点産地認定の恩典が見えない。


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