石垣市伊野田沖と浦底湾で昨年11月から3カ月間、波の力で発電ができないかどうか、波の高さを調査してきた県は今年2月、石垣市と協力して国の海洋再生エネルギー実証フィールド事業に申請した。採択されると、国の支援を受け、発電装置開発企業などによる実証試験が行われる見通し。石垣市にとっては企業の立地、研究開発の拠点の形成などが期待できるという。
県の調査では、伊野田では安定した波高が確認され、浦底湾では風向によって波高に高低があることが分かったという。県によると、1・5㍍以上の波高など国の実証フィールドに必要な要件をおおむね満たしているという。
市と県は22日、地域の近隣公民館や関連団体などで構成する「いしがき波力発電実証フィールド関係者連絡会議」(議長・漢那政弘副市長、委員13人)を立ち上げ、受け入れ態勢を構築した。採択された場合、連絡会議で具体的な調整を行う。
国の事業には全国からは7県11カ所の応募があり、波力を使った事業は沖縄県石垣市を含めて3県3カ所。今月以降、国は全国の候補地の現地踏査を行い、夏ごろをメドに実証フィールドを選定する予定。
県は石垣市を調査対象に選んだ理由について、海洋基本計画やエコアイランド構想を策定し、川平湾で電気推進船導入など再生エネルギー導入に向けた取り組みを実践していることを挙げた。
この日の連絡会議では八重山漁協の上原亀一組合長は「海上に構築物などがあると漁業に影響が出ないか」と懸念を示し、調整の必要性を指摘した。
連絡会議の冒頭、中山市長は「海を利用したまちづくり、環境にやさしい地域づくりをしたい」と述べた。