全国的に注目されてきた八重山の教科書問題は、21日に県教委が竹富町の分離と単独採択を決め、これにより文科省も23日違法確認訴訟を断念したため、採択協議開始から4年近くに及ぶ一連の騒動は、ようやく収束することとなった▼しかしその前日の20日、文科省や自民党本部に竹富町単独での教科書採択に反対を訴えた玉津博克石垣市教育長の言動をいぶかった人は少なくないだろう▼それはせっかく新しい教科書無償措置法に基づき、今までの混乱にようやく決着が付きそうだというのに、それを3市町分裂の当事者がいまさら反対を訴え、しかも1人自民党部会に出席したこともあり、また何か混乱させるよからぬ相談をしたのではと勘繰る人もいた▼この問題で竹教委は、文科省などから無法者扱いされながら、結果として勝利した▼その竹教委を支えたのは郡内はじめ全国の支援者だが、さらに大きな力となったのが、一貫して同教委を擁護してきた県教委だ。県教委の擁護があって竹教委も、国の圧力にここまで踏ん張れたのだろう▼いまさら3市町一体を求めた玉津教育長の問題は、分裂の傷跡の深さを知らないところだ。もし3教委が修復できるとするなら、それは混乱の当事者である3教育長がそろって退任し、新体制になることでしかないだろう。(上地義男)
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