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つくれば売れるのになぜ? 

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■11年の751頭が最高

 売れるのになぜ生産量が増えないのか—。八重山のブランド牛「石垣牛」のことだ。テレビでの芸能人らのPR効果などもあって観光客らに人気の石垣牛だが、なぜか生産量は一進一退を続け、特に昨年3月の新空港開港以降観光客が急増し需要に供給が全く追い付かない状況が続いている。

 JA八重山によると、10年前に5600頭余がその後300頭台まで落ち込み、昨年までの過去5年間は2009年が581頭、10年が628頭、11年が過去最高の751頭、12年687頭、昨年が559頭と伸び悩んでいる。

 しかも八重山は、800戸近い農家が約3万2000頭の子牛を生産する県内最大の肉用牛生産地域だが、石垣牛肥育農家はひところの20戸台から12年33戸、13年36戸に増えてきたものの、まだまだほんのひとにぎりだ。

 

■少ない石垣牛肥育農家

 そのために石垣牛はつくれば高値で売れるが、生産する肥育農家が少ないため、需要にこたえきれない状況が続いているというわけだ。それではなぜ肥育農家が少ないのか。

 それは生後10カ月以内に出荷する子牛の競り価格が近年高値で推移しているのに対し、JAの定める石垣牛ブランドの出荷条件は去勢が24~35カ月、雌24~40カ月と最低2カ年半成育しなければならず、しかもそれが安定した軌道に乗るには4~5年かかる。

 いわばその間は収入がない上に逆に初期投資の牛舎建設に多額の費用がかかり、さらに飼料代もかかる。しかしそのように長い期間手間ひまかけて育てた牛が必ずしも最高級の肉質で高値となる保証もないため、あえて現在の高値安定の子牛生産からリスクのある肥育農家に転換する農家がなかなか出てこないというのが現状だ。

 確かに去る4月の競り結果を見ると雄子牛は最高78万4000円で1頭当たり平均は53万2000円、雌が最高61万4000円で平均46万9000円と、このところ子牛価格は高値安定が続いている。これに対し石垣牛の13年実績は1頭当たり平均で92万1000円、12年は79万円だった。

 それだけに子牛農家から肥育農家に転換はなかなか容易でない。しかし石垣牛を増産するには肥育農家を増やす必要があるし、肥育農家を育成するためには行政の強力な支援が必要。

 

■増産に実効性ある支援を

 JA石垣牛肥育部会(仲大盛吉幸部会長)も今年700頭を生産し、ここ3年で1000頭まで増頭の目標を掲げているが、そのためには牛舎や、えさ代などで行政の支援を訴える。

 これに対し、中山義隆石垣市長も石垣牛を増やすため、肥育農家への支援を明らかにしている。これは九州でもトップクラスの新八重山食肉センターがオープンしたことから生産体制を増強するため、どのような支援が必要か目下JA側と話し合いをしているという。

 売れるものをつくって販売するのは市場経済の原理原則。八重山農業の振興と経済振興を図るためにも増産を推進しバックアップするのは行政の当然の役割だ。中途半端でないしっかりと結果が出る実効性とスピード感のある支援策を石垣市とJAに望みたい。


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