八重山地区中学公民教科書問題が起きたときの文科相だった民主党の衆院議員、中川正春氏が19日、同党の文部科学部門を担当する議員らと石垣市、竹富町の両教育委員会を訪問し教育長らと意見交換した。当時、竹富町が教科書を購入して生徒に配布することまでは法令上禁止されていないとの法解釈を示したことについて中川氏は記者団に「正しかった」と述べ、下村博文文科相の是正要求について「(地方自治法に)違反しているとはいえない。間違っている」と指摘した。
中川氏は文科相だった2011年10月26日当時、衆院文科委員会で、八重山採択地区協議会の結果(答申)に基づいて採択を行っていない竹富町は教科書の無償配布の対象にならないとする一方、「地方公共団体自ら教科書を購入して生徒に無償で供与することまでは法律上禁止されるものではないという解釈が(内閣)法制局から出ている」と説明。無償措置法が、地方教育委員会の採択権まで否定するものではないとの認識を示していた。
町はこの間、有志らの寄付で教科書を購入、生徒に配布している。
「この法解釈は現在も変わらないか」との質問に対し、中川氏は「そうだ。子どもたちが教育を受ける権利が侵害されることは問題だが、結果的に子どもたちに教育の機会が与えられた。逆に混乱を招く形が間違っている」と述べ、無償措置法に違反するとして是正要求をした現政権の対応を批判した。
中川氏は当時、地方教育委員会に採択権があるとする地方教育行政法と、採択地区内では同一の教科書を採択しなければならないとする無償措置法には矛盾があるとして、法改正の必要性を指摘しており、「今回うれしかったのは、法律(無償措置法)が変わって、(教科書)採択が個別にできるような状況になったこと」と述べた。