2011年3月11日の東日本大震災で洋上に流出した震災がれきとみられる木材が八重山の島々にも漂着しているのを、漂着ごみ調査を継続して行っている元防衛大教授の山口晴幸氏が11日までに確認した。3市町の30海岸で1110個をカウントした。八重山では12年12月に西表島で南三陸町の郵便ポスト、13年1月に小浜島沖で石巻市の小型漁船が見つかっているが、震災がれきと確認されれば、初めてのケース。山口氏は、今後も継続して漂着する可能性を指摘している。
山口氏の漂着ごみ定点調査は今年で17年目。今回は4月27日から5月11日にかけて、石垣、西表、波照間、与那国の4島の30海岸16・26㌔を歩き、漂着ごみを一つ一つ確認した。今年は特にボルトやくぎ、溝のある角材、柱材、板材が目についたという。山口氏が12年と13年に硫黄島と南鳥島で行った調査で確認した震災がれきと形状が酷似していた。
これら震災がれきとみられる漂着ごみは石垣島11海岸で493個、西表島11海岸で307個、与那国島9海岸で337個、波照間島1海岸で23個見つかった。
東日本大震災で洋上に流出した震災がれきは約450万㌧とされ、このうち約150万㌧が太平洋上を漂流していると言われている。
西表島で定期的に海岸清掃を行っている西表エコプロジェクトの森本孝房代表は「去年の冬あたりから震災がれきが増えている。がれき以外にも日本の漁具が多くみられるようになった」と話す。
山口氏は「がれきは水分を含んで重くなるので流れにくく、かなり長期にわたって水中を低速度で移動しているものが多いと思われる。他の漂着ごみに比べて少ないが、長期的に漂着する可能性が高い。くぎのついた木材や一人では持てない長さの角材があるので処理処分するのが大変。がれきについても把握しておく必要があるのではないか」としている。