石垣島地方気象台は、テッポウユリの開花確認を15日と発表した。生物季節観測に基づくもので、昨年は4月1日だった▼テッポウユリの観測は1953年、デイゴやヒカンザクラと一緒に開始、61年になる。その間、最も早く咲いたのが2月8日、遅かったのは4月20日だったという。平年値は3月30日▼かつて石垣市の山野は、この時期になると、いたるところにテッポウユリが咲いていた。なかでも観光名所の御神崎は、真っ白なじゅうたんを敷き詰めたようになり、訪れる人々の目を楽しませていた▼ところがそのユリが減り始め、市が修景緑化事業で1000万円以上を投じて球根を植えたものの、数年後には花を咲かせなくなった。さらに強風でユリは次々と枯れ現在に至っている▼残念なのは、市内のあらゆる場所に咲いていたユリが、次第に姿を消したことだ。一方、本島北部を訪れると、美しいテッポウユリが目に付く。真偽は定かでないが、「石垣島から導入した」という話も聞いた▼市内にあれだけあったソテツは、修景緑化や食用として韓国や台湾へ輸出され、リュウゼツランも激減した。当時はこれらの価値が高くなかったためだが、いま思えば「もったいない」こと。できれば廃牧した平久保牧場などで、市が保存増殖を試みてほしいものだ。それは財産になる。(黒島安隆)
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