■充実する教育関連施設
新石垣市立学校給食センター(宮良信世所長)が完成、新学年度から供用を開始した。調理場にドライシステムを導入するなど衛生管理を徹底した近代的な施設だ。バンナ岳入り口に立つ白亜の「食の殿堂」の完成を喜び、公約の実現をたたえたい。
団塊の世代が児童生徒のころ、給食はパンと脱脂粉乳。それが今では、多彩なメニューが給食センターから供される。四季行事の際には彩りを添える。学校規模によっては、ランチルームで全校生徒が一堂に会しての給食。特別な日にはバイキング料理で祝してくれる。まさに隔世の感。学校教育の発展を喜ばずにはおられない。
戦後の学校教育を語るとき負の部分を見がちだが、体育館やプールなど、その建設には教育行政の発想の豊かさがあった。それは児童生徒の体格を向上させ優れた人材を育ててきた。今では当然のごとくある教育施設だが、その恩恵を見落としてはならない。
石垣市は、これから新博物館、水族館の建設が予定されている。また、国立天文台(石垣島天文台、VERA石垣島観測局)が在る地の利を生かしプラネタリウムの建設要望の声が市民から挙がっている。これらの教育文化関連施設の実現で児童生徒の知的水準を高め、幸せあふれる町に向かいたい。
■コミュニケーションの場
とかく窮屈で拘束されている印象のある学校生活だが、これを払拭(ふっしょく)してくれるのが「給食の時間」だ。級友との語らい、担任との雑談や冗談が飛び交うコミュニケーションの場である。また、教師は子どもの変化を見抜く場にもなる。これはカウンセリングの資料となる。食の大切さを学び、食事作法を知る場でもある。
食物アレルギーを抱える子どもが増えている。全国の小中高校で約41万人にも上る。一昨年は東京都調布市で児童が給食を食べて死亡するという痛ましい事故が起きている。センター、保護者、担任の意思疎通が欠かせない。
担任との触れ合いが少ないと言われる中で大切にしたい貴重な「給食の時間」。そのためには給食タイムを長く取りたい。
ファストフードが広まり、偏食が懸念されている児童生徒。小児糖尿病も増えているという。長寿立県沖縄は過去のことになった。食育の大切さをいま一度認識したい。
地産地消も進めなければならない。いよいよ学校給食センターの役割が重要さを増す。学校給食があって今の学校の日課が維持されている—このことを励みに給食を提供してほしい。
■学校給食の無料化
与那国町も学校給食無料化に踏み切った。給食費未納が問題になったとき、「義務教育だから払うに及ばない」を理由に挙げた保護者がいた。思い違いをしてはいけない。給食無料化はどこまでも学校生活を楽しく豊かなものにし教育の効率化を図るためにある。
給食無料化に要した財源は他から回って来たものであり、その分、そこが手薄になったということを心したい。給食無料化の意図をよく把握しなければいけない。