石垣市内で近年、空き家の環境が悪化し、危険家屋に指定されるケースが増加している。石垣市防災危機管理室(慶田城用允室長)によると今月19日時点、市内にある危険家屋は24軒で、このうち12軒を空き家が占めていることが分かった。倒壊の危険性とともに、防犯や衛生的な面からも対策が求められているが、空き家の所有者らは「取り壊したくても費用が掛かるので難しい」と、経済的理由で放置しているのが現状。市の部課長級職員で組織する老朽危険家屋対策検討委員会(会長・漢那政弘副市長、20人)の事務局を務める同管理室では「建物の適正管理に関する条例や制度の策定に向け、委員会で検討する」と対策に乗り出す考え。今後は個人の所有物に対し、行政がどこまで介入できるかが課題となる。
同検討委は2012年7月6日に、老朽化が進む建物の倒壊などの事故や犯罪、火災の防止などを目的に設置された。これまでに対象家屋の所有者や管理者の協力を得て、当事者による4件の取り壊しが完了している。
市内にある空き家では、台風襲来時にトタンや瓦が強風で飛散。09年6月には、桃林寺西通り沿いの空き家で火災が発生。木造瓦ぶき1棟が全焼したケースがあり、適切な対処が求められている。
これに対し空き家を管理する男性は本紙の取材に「今年の台風時期までには何とかしたい」と述べた。
別の男性は「取り壊しに費用がかかるのでどうしようもない。近隣住民に迷惑をかけているのは承知している」と語った。
市消防予防課では「危険家屋の状況把握と台風時の見回りで対応。市の火災予防条例に基づき、空き地および空き家の管理者に管理徹底を再度呼びかけたい」と説明した。
同管理室によると「危険家屋の半分は空き家のほか、人が住んでいる建物もある。行政指導や強制的に取り壊すことはできないが、制度の策定を急ぎ、早急に対処したい」としている。