南ぬ島石垣空港開港後、初めての一般公開となる白保竿根田原洞穴遺跡の現地説明会(主催・県埋蔵文化センター)が11月30日、新空港内の同所で行われ、40人以上の市民や関係者らが発掘の概要や遺跡の説明を聞いた。同センターでは文化庁の重要遺跡範囲確認調査で10月7日から現地調査を実施。これまでに1万6000—8000年前の層から頭蓋骨の骨片や歯などが発見されており、今後は頭蓋骨の復元作業に取り組み当時、石垣島に住んでいた人の顔を再現していくという。
同遺跡は新石垣空港建設工事に伴う分布調査で発見され、2010年には空港建設工事計画を変更、現在の遺跡約200平方㍍が空港北側の浸透池内にフェンスで囲われて残っている。
現地での発掘調査最終日となるこの日は、一般市民を対象にした説明会を行い、同センターの仲座久宜主任専門員と県立博物館・美術館の藤田祐樹学芸員がこれまでの調査概要や今後の取り組みなどを説明した。
今回の調査では、20個体以上の歯や人骨が見つかっており、そのうち1万6000—8000年前の層から発掘された2、3体分の頭骨は骨片の状態が良いことから、藤田学芸員は「頭蓋骨が復元されているのはこれまで港川人1体だけだったが、今回の結果を基に顔の組み立てを進めていこうと取り組んでいる」と話した。同センターではこの日で発掘調査を終え、12月6日までに埋め戻し作業を行う。
発掘調査の最終日で現地に駆けつけた新潟医療福祉大学の奈良貴史教授は青森県で同年代の遺跡発掘を行っており「更新世の人骨が出るのは最後ではないか。本土では石器などの生活物は出てくるが人骨が出ないため、石垣島の人骨と本土の人骨を比較できるよう、来年こそは青森の調査現場でも出てほしい」と話した。
また、1日午後1時から、市民会館中ホールで講演会も開かれ、これまでの調査結果報告なども行われる。