【与那国】名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票をめぐり、与那国町議会(前西原武三議長)は26日の臨時議会で、外間守吉町長が再提案した県民投票管理費を含む与那国町一般会計補正予算を議長裁決で否決した。閉会後、外間町長が原案執行権を行使して補正予算の執行手続きに入ったため、町では県民投票が実施される見通しとなった。県内市町村で議会の議決を覆して県民投票を実現させるのは初めてのケースとなる。
外間町長は、13日の12月定例会本会議で、与党と一部野党議員提出の一般会計補正予算から県民投票管理費255万円を削除する修正案を5対4の賛成多数で可決したことに異議を訴えながら、地方自治法177条第1項に基づいて再議に付した。
県民投票に反対する与党側からの質疑で、再議が仮に否決された場合の予算措置について外間町長は「県議会が(県民投票)条例を可決して、知事が執行するとしている。自治体はこれに可決すべきだ。否決になっても(予算は)執行する」と強調、野党側から拍手が起こった。
討論で、12月定例会で修正案の動議を提出した与党の嵩西茂則氏が「県民投票は普天間基地の移設と危険性の除去に触れられていない。県民投票はそぐわない」と再議の否決を主張。
野党の田里千代基氏は再議の必要性を訴え、「議会と行政は法令を順守して県民の生命と財産を守ることが基本。すべての有権者に投票権が付与されており、外間町長の決断を高く評価したい」と述べた。
採決では野党の与那原繁氏が退席。与党4、野党4の可否同数となり、前西原議長の裁決で否決された。
■町長判断に与党反発 「議会の議決重んじていない」
【与那国】県民投票の実施に向けて動きだした外間守吉町長の判断に対して、外間町長を支持する与党5人は「議会軽視」「議会の議決を重んじていない」と切り捨てた。
与党の嵩西茂則氏は閉会後、13日の本会議で与党が提案した県民投票の管理費を削除した補正予算の修正案が賛成多数で可決されたことを引き合いに出し、「本来なら議会の議決を重視すべきだ。議会の存在がないがしろにされている」と町長の判断を批判。
別の与党議員は「町長の判断は与那国島へ陸自配備をした経緯と整合性がとれない。今後も町長派として支えるが、この件に関しては町長も調整してほしかった。与党も言うべき事は言いたい」と話した。
一方、退席した野党系の与那原繁氏は「町長は(われわれが)反対しても県民投票を実施すると言っている。県民投票に関しては支持者の意見もあり、意味のない採決には加わらない。野党との亀裂を生む気もない」と理由を話した。