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遠隔技術で音楽療法

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ビデオ通話を通じて運動の指示を出すモニターの音楽療法士=26日午後、あかゆらデイサービスセンター

 インターネット回線とヤマハ㈱の音響通信技術を使い遠隔で音楽療法を行う実証実験が26日午後、㈲福祉ネットワーク・やえやまあかゆらグループ(當山房子代表取締役)で利用者17人を対象に行われた。群馬県高崎市と石垣島約2000㌔を中継で結び、認知症や統合失調症などの精神疾患に効果があるとされる療法を高崎市の音楽療法士がモニターを通して指導した。実験は2014年に続いて2度目。

 実証実験は東京医療保健大学医療情報学科准教授の小杉尚子博士を中心に、音楽療法士、運動指導者、精神科医師、IT技術者などで構成した研究チームが実施。

 ネット回線を使用することで、離島や豪雪地帯など場所に縛られず同療法を受療できる。中継でビデオ通話の映像と音声の遅延を補うため、ヤマハの無遅延同時双方向音声・音響通信技術を用い、遠隔地間の伴奏や合唱を違和感なく行うシステムを構築した。

 同日、施設にはテレビモニターが設置され、スピーカーから流れる音楽療法士のピアノ演奏に合わせて、「お正月」、「えんどうの花」など数曲を合唱。利用者たちは上半身や体幹を鍛える運動のほか、じゃんけんゲーム、楽器演奏を楽しんだ。

 2011年から研究を始めた小杉博士は、機器や通信回線が発達することで「竹富町や与那国町でも遠隔が可能になる。音楽療法は対象者だけでなく周りの介護モチベーションも上がる」と効果に自信を見せた。

 施設利用者の新悦さん(80)は「一人暮らしなので皆で楽しめて気持ちが晴れた」とうれしそうに話した。

 當山代表は「介護の資源が少ない石垣で、こうしたサービスはありがたい」とシステムの導入を検討。

 研究チームは全国各地で実験を展開し、対象者の細かい反応や変化を吸い上げ療法の臨床へ生かし、システムの実用化を目指す。あかゆらでは、来年2月まで計5回療法を取り入れる。

【音楽療法】

 対象者(クライアント)の身体的、感情的、認知的、精神的、社会的なニーズに対応するため、音楽を使用する療法。専門資格を持つ音楽療法士によって、音楽鑑賞や音楽に合わせた運動、合唱や合奏などで、健康回復、生活の質の向上を図る。


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