思えば40年余、白髪とともに生きてきた。最も目立つ前髪に若白髪を見つけたのは、大学卒業を控え追試決定に衝撃を受けた時だった▼以来、からかいにも「前頭葉が発達してるから」、「白髪がないのはうんくとぅ（思慮分別）がない証拠」などと返してきた。今や黒髪は風前のともしびである▼生まれ島小浜は「果報の島」ながら「白髪の島」でもある。八重山地区老人芸能大会の報道写真に改めて実感した。小浜老人会の男性陣は70歳前後、全員見事なほど真っ白の白髪が紺地着物によく映えていた。遠く父祖のＤＮＡを思い、数年先の自分を見た▼はるか昭和、上の世代に「ロマンスグレー」なる言葉があった。酸いも甘いもかみ分けた、粋でおしゃれな中年男性をさした。縁がなかった▼今年の流行語大賞に「グレイヘア」がノミネートされた。女性が白髪をあえて染めず、その色合いや風合いをいかしたヘアスタイルを楽しむのが流行という。人の目やアンチエイジングよりも、ありのままの自分を生きる美学なのだろう。染めるもよし、ありのままもよし、人それぞれの生き方▼辺野古埋め立てでニュースに出ずっぱりの岩屋防衛大臣。いい感じのグレイヘアだが、どこか不自然。お気づきの方もあるか。「半分、青い」ならぬ「眉だけ黒い」。気になる。（慶田盛伸）
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